2: 名無し 2017/05/07(日) 13:26:16.74 ID:L3sEiv9B
俺には何でも出来る器用で多趣味な父親がいた(いる)
幼い頃は壊れたおもちゃを直してもらったり、けがの手当てをしてもらったり、
どこから手に入れたのかわからないけども色々な分野のプロ用の道具を揃えていたりする
頼りになる父親だった

4: 名無し 2017/05/07(日) 13:26:46.13 ID:L3sEiv9B
怒ったら怖かったけど、そんな父親を尊敬していたし、憧れてもいた

5: 名無し 2017/05/07(日) 13:27:02.02 ID:L3sEiv9B
でも自分が成長する過程で、その父親との距離感に苦労するようになった。
自分が何か興味を持って始めると、父親が後追いで同じことを始めてくる。
小学生の俺と父親では、何かをする時の資金力や経験で圧倒的な差がある。
しかも父親はなまじ器用な人間なので、あっという間に追い抜かれてその差を見せつけられた。

6: 名無し 2017/05/07(日) 13:27:33.60 ID:L3sEiv9B
例えば小学校の自由研究で工作をする。
俺は小学生の自由な発想であるものを作った。
アイディアこそ独自のものだったが、出来上がったものはセロテープと糊で作った小学生の作品だった。

7: 名無し 2017/05/07(日) 13:28:04.98 ID:L3sEiv9B
それを見た父親は、同じ構造でとても綺麗な完成された作品を作って渡してきた。
自分の作った方は、同じものとは思えないほどみすぼらしく感じた。
父親はこれを学校に持って行けと言った。
俺は断れなかった。

8: 名無し 2017/05/07(日) 13:28:34.71 ID:L3sEiv9B
だって父親が俺の為に作ってくれたのだから。

そして友人から作品を「スゲー」と評価された。
何だったか覚えていないけど、佳作かなんかで賞状も貰った。
家族もみんな褒めてくれた。
でも、1つも嬉しくはなかった。

9: 名無し 2017/05/07(日) 13:28:57.49 ID:L3sEiv9B
その次の年、同じく自由研究で母親に工作キットを買ってもらい、それを組み立てた。
下手なりに色を塗り、水車小屋かなんかだったと思うけど、やはり小学生なりのモノが完成した。

10: 名無し 2017/05/07(日) 13:29:17.06 ID:L3sEiv9B
数日後、机に置いていた俺の作品は、父親の手によって大きく進化していた。
リアルな色が塗られ、汚しが施され、色々と部品が付け足されたジオラマになっていた。
父親はこれを学校に持って行けと言った。
俺は断れなかった。

11: 名無し 2017/05/07(日) 13:29:37.25 ID:L3sEiv9B
そして学校で友人から「ホントに〇〇(俺)が作ったの???」と驚かれた。
俺は嘘を付いた。
そりゃそうだ。今見ても小学生の作る作品じゃない。
それでも俺は父親が俺の為にやってくれたんだと思うと、「自分でやった」と言わざるを得なかった。

12: 名無し 2017/05/07(日) 13:30:14.77 ID:L3sEiv9B
そしてその作品も、校内表彰か何かを受けた。
賞状をもらって帰った。
家族はみんな喜んでくれた。
俺は1人、部屋で泣いた。

13: 名無し 2017/05/07(日) 13:30:42.88 ID:L3sEiv9B
俺は工作が好きだった。模型が好きだった。
コツコツ作業するのは苦手だったから出来栄えは別として、作ると言う行為が好きだった。

14: 名無し 2017/05/07(日) 13:30:56.66 ID:L3sEiv9B
俺の父親も模型が好きだった。
凄い作品が部屋にたくさん並んでいた。

15: 名無し 2017/05/07(日) 13:31:11.90 ID:L3sEiv9B
俺が模型を作ると、父親は必ず部屋に来てそれを眺めた。
そして子供心に判るんだ。表情には出さないものの「欠点を見つけている顔」が。
その評価は母親に色々と告げていたらしい。たまに母親から話をされた。

16: 名無し 2017/05/07(日) 13:31:27.19 ID:L3sEiv9B
そんなことが繰り返されるうち、俺は模型を作るのが怖くなった。
作るのは好きだけど、出来上がるのが怖かった。
また、あの顔で作品を見られるのが。

17: 名無し 2017/05/07(日) 13:31:47.03 ID:L3sEiv9B
中学生になる頃から、俺は勉強をするようになった。
勉強をしていい点数を取る。それは俺の、俺だけの評価だったから。

18: 名無し 2017/05/07(日) 13:32:00.11 ID:L3sEiv9B
しかも父親は学歴としては大したことはない。勉強は嫌いだと言っていたし。
そしてどんどん成績は伸びた。

19: 名無し 2017/05/07(日) 13:32:33.14 ID:L3sEiv9B
県内でも有数の高校に進学し、県内トップの大学に進学した。
バイトもして、ボロいけど軽自動車も買った。

20: 名無し 2017/05/07(日) 13:33:09.35 ID:L3sEiv9B
ある日にネットで調べ、タイヤ交換をした。
その時にボルトの付ける向きを間違えた。
その時点では気が付かなかったが、1時間後に見に行くと俺の車で何かしている父親の姿があった。

21: 名無し 2017/05/07(日) 13:33:28.84 ID:L3sEiv9B
全部ボルトの向きを直してくれたらしい。
俺は表面上お礼を言ったが、自分の中で何かが切れた。

22: 名無し 2017/05/07(日) 13:33:50.92 ID:L3sEiv9B
そのまま近くのカーショップに行き、ホイールごとタイヤ交換してもらった。
父親に触られたくなかった。

23: 名無し 2017/05/07(日) 13:33:52.74 ID:jzUzOTzz
親父凄すぎて苦労か
面白いわ

24: 名無し 2017/05/07(日) 13:34:18.96 ID:L3sEiv9B
俺の車
俺だけの車
他人が整備するのは別に構わないが、父親にだけはされたくなかった。

25: 名無し 2017/05/07(日) 13:34:43.31 ID:L3sEiv9B
そして帰ってから、その件で母親に問い詰められた。
なぜ父親の好意を無にするような事をしたのか、と。
自分の感情が上手く説明できず、とりあえず謝った。

26: 名無し 2017/05/07(日) 13:35:01.72 ID:L3sEiv9B
その後、父親と趣味が被らない様に務めた。
父親が好きなカメラ、釣り、車、料理、日曜大工、そう言ったものには極力近づかないようにした。

27: 名無し 2017/05/07(日) 13:35:21.90 ID:L3sEiv9B
その結果、父親とは次第に会話をすることも無くなっていった。

28: 名無し 2017/05/07(日) 13:35:38.18 ID:L3sEiv9B
就職して数年が経ち、ある日母親に話をされた。
父親を空気の様に扱わないでほしい、と。

30: 名無し 2017/05/07(日) 13:36:19.67 ID:jzUzOTzz
>>28
父親しょぼーん

29: 名無し 2017/05/07(日) 13:35:52.79 ID:L3sEiv9B
別にそんなつもりもなかったが、母親には「自立し父親が必要なくなったから近寄らなくなった」と見えたらしい。
この時も俺は自分の感情が上手く説明できず、とりあえず謝った。

31: 名無し 2017/05/07(日) 13:36:57.26 ID:L3sEiv9B
でも話をしようにも、自分の中で出来た壁が邪魔で近寄れない。
むしろ何を話せば良いのかわからない。
結果的に、日々当たり障りのない世間話をしてお茶を濁した。

32: 名無し 2017/05/07(日) 13:37:15.17 ID:L3sEiv9B
結婚して、子供も生まれた。
自分が父親になった今、挑戦と失敗を繰り返す子供との距離感に気を付けている。

33: 名無し 2017/05/07(日) 13:37:33.16 ID:L3sEiv9B
手助けはするが、成果は奪わない様に。
一方で、自身の両親へのモヤモヤは晴れない。

34: 名無し 2017/05/07(日) 13:38:24.46 ID:L3sEiv9B
もちろん親孝行と呼べるような事をしなかった自分にも非はある。
でも、何をしたら良いのか判らないんだ。
何をしても、表面的にしか喜ばれない気がする。

35: 名無し 2017/05/07(日) 13:39:49.26 ID:L3sEiv9B
自分のやることを、常に高みから評価されているように感じてしまう。
純粋に喜んでもらおうと思っていても、常に一歩先を行かれている気がして気が引けてしまう。

36: 名無し 2017/05/07(日) 13:40:32.76 ID:L3sEiv9B
・・・・と言うのが俺のモヤモヤなんだ。

散文、チラ裏すまん

37: 名無し 2017/05/07(日) 13:41:36.07 ID:L3sEiv9B
正直これから距離感をどうすべきか判らない。

事情があって同居しているんだけど、父親が死ぬまでこの微妙な壁を抱えたままだと思うと気が重い。

39: 名無し 2017/05/07(日) 13:42:27.39 ID:jzUzOTzz
>>37
子供を通して会話してみ

40: 名無し 2017/05/07(日) 13:42:51.48 ID:L3sEiv9B
>>39
どういうこと??

43: 名無し 2017/05/07(日) 13:48:16.47 ID:L3sEiv9B
>>41
なるほどなあ
今時少ない父親が絶対の家庭だから怖いけど頑張るわ。

46: 名無し 2017/05/07(日) 13:59:18.57 ID:sgWGHxxQ
>>44
そうだね
1が自分を守るためにお父さんと距離を置いたのもよくわかるよ
そうしなきゃ壊れちまうもんな
贅沢な悩みと言う人もいるだろうけどやっぱり距離感とか大事よ

ただお父さんもお父さんなりに一生懸命1を育ててきたんだろうな

今ならわかるんじゃないの?
>>39の言うように孫を挟んでは良いきっかけかもしれんよね
別に深い話はしなくてもさ
1の子育て観を話してみるとか
それだけでもいいんじゃないの
孫きっかけでお父さんと話をするだけでもお父さんは嬉しいと思うよ

38: 名無し 2017/05/07(日) 13:42:09.02 ID:L3sEiv9B
以上、ただ気持ちを吐き出したかっただけ。

44: 名無し 2017/05/07(日) 13:49:55.01 ID:L3sEiv9B
>>42
まさにそれなんだ
悪意はないだろうし、純粋に子供を愛し応援してくれているのは判る
だからこそ全否定も出来ないけど、そうすると俺と言うアイデンティティの危機に繋がりそうで怖い

47: 名無し 2017/05/07(日) 14:04:14.14 ID:L3sEiv9B
ありがとう
良い父親だってこと、贅沢な話ってのも自覚してるんだ。
だからこそ他人に言い出せないし、でもほっといても何も変わらないし。
確かに自分が父親になった今、子供に手をかけてやりたい気持ちは凄く判る。
でもそれが何十年もすれ違ってたんだよな。

子育て観ってのは面白いね。
今嫁子が帰省してるから、帰ってきたら父親も交えて少しずつ話をしてみようと思う。

相談してよかった。ありがとう。

49: 名も無き被検体774号+@無断転載は禁止 2017/05/07(日) 14:10:22.17 ID:L3sEiv9B
>>48
一応、孫の事には口出ししないって本人が明言しているんだ。
それと父親は結婚が遅かったから俺よりも40歳くらい歳とってるし、
俺の子供が人生の分岐を迎えるころには多分死んでると思う。
だからそこはそんなに心配していないのだけど、俺自身が辛い。